ポケモンのいわゆる3値――種族値・個体値・努力値――を知ることは、ポケモンのゲームを極めるための第一歩だが、これらは公式用語でないし、隠されたステータスであるためゲーム内でその存在を知ることはできない。

このことが、初心者がガチ環境に対してとっつきにくくなっている一つの要因なのだが、一方でネット上には3値を解説するサイトがいくらでも存在する。

ところで、あのWikipediaにも、かつて3値について詳細な説明がなされていた時期があったのだ。

Wikipediaにおける3値に関する記述には紆余曲折があった、というか“書きたがり”と“原理主義者”との間で長い闘いがあったのだが、最近では「隠しパラメータが存在する」とのみ書かれ、他の一切の記述が除去されてしまった。

ちなみにウィキペディアンでもある俺は、「ごく初歩的な記述をするがそれに留めること」を推していたのだが、記述しない派の「ポケモンのゲームに関する情報を得るのにWikipediaを選ぶ人にとって、3値など不要な情報である」という主張には同意できるので、編集合戦を起こすくらいならバッサリいってしまったほうがいいかな、と思っている。

でも……かつての記述が、初心者が3値を知る第一歩として秀逸だったのは否めないと思うと、どこかに残しておきたいと思ってしまうのだ。

ということで、在りし日のWikipediaの、3値に関するわかりやすい説明を紹介しよう。

他所のサイトでも、これらと同じような説明をしているところがあるかもしれないが、ここではWikipediaの歴史として紹介したい。

なお、俺は元ポケモンガチ勢であり、3値はおろかポケモンに関することにはだいたい詳しいのだが、この記事は主にポケモンプレイヤー以外に向けたものなので、詳しく知りたい人にはググればいくらでも出てくる解説サイトをおすすめする。

そもそも3値とは

ポケモンには「攻撃」や「防御」などの能力値があり、もちろんピカチュウとミュウツーでは能力値が異なる。

もしすべてが同じなら、ゲームとしては面白くないだろう。

これらの能力値は、ゲーム内ではプログラムによる計算で決まっているもので、その計算にはさまざまな要素、つまりステータスが使われている。

そのうち、隠しステータスである重要な三つが、いわゆる3値「種族値」「個体値」「努力値」である。

隠されていないステータスである「レベル」や「性格」なども計算に使われているのだが、やはりとりわけ隠しステータスは理解するのが難しい。

しかしこれらのおかげで、ポケモンの育成システムは奥深いものとなっている。

上述の通り、種族値、個体値、努力値はいずれも公式用語ではないが、努力値のみゲーム内に「基礎ポイント」として存在が示されている(ゲーム内で数値を確認することはやはりできない)。

なぜ公式用語が存在するのに努力値の名称を使用するかといえば、おそらく他の二つに合わせているのと、あとは“努力値”のほうが意味をよく表しているということだろう。

ちなみに海外でも、努力値のことをEffort Value(E.V.)と呼んでいる。

種族値とは

種族とは、ピカチュウとかミュウツーとかの、ポケモンの種類のことだ。

ピカチュウとミュウツーでは、同じレベルでも能力値が全く異なり、ミュウツーはピカチュウより「攻撃」や「特攻」(とくこう:特殊攻撃)などが上回る。

※というか、実際にはミュウツーがすべての能力値で上回る。

これはポケモンの種族ごとに設定されたパラメータ「種族値」のせいだ。

いうなれば、

チーターは人間より走るのが速い

――在りし日のWikipediaより

というようなことだ。

とてもわかりやすい例えだな。Wikipedia的には不要でも、この世にこの説明を必要としてる人がきっといる。

ピカチュウはライチュウに進化し、そのときに能力値が大きく向上するが、なぜレベルが上がったわけでもないのにそうなるかというと、進化して別のポケモンになり、種族値が変わったからだ。

まれに、進化すると一部の能力値が下がるポケモンがいるが、これも同じ理屈だ。

種族値はポケモンごとに決まっているので、覚えるしかない。

敵を知り味方を知ることは兵法の鉄則なので、種族値を覚えることはガチ勢たちの嗜みである。

個体値とは

試しに同じレベルのピカチュウを10匹捕まえてみよう。

今もピカチュウは出現率が極端に低いのだろうか。

んで、そしたらその10匹のピカチュウの能力値を比べてみよう。

そう、きっとバラバラなはず。

これは、同じピカチュウでも、一匹一匹で異なる個性のようなものがあるせいであり、それを示すパラメータが「個体値」だ。

いうなれば、

(人間の)Aくんは、(同じく人間の)Bくんより(生まれつき)走るのが速い

――在りし日のWikipediaより、一部改変

というようなことだ。

個体値はゲーム的にはランダムに決定されているが、高いほうが強いポケモンに育つので、ガチ勢たちは少しでも高い個体値を求めて、日夜厳選に励んでいる。

厳選って……生命倫理的にはえげつないことをしているような気がするが……ゲームだし、俺も昔はやった。

今はポケモン自体をやってないだけだが。

努力値とは

野生のコイキングLv.30を捕まえたものと、タマゴから生まれたLv.1のコイキングを多くのバトルでLv.30まで育てたものとでは、能力値にけっこうな差があると思う。

つまり、バトルをさせまくると能力値が上がる。

これは、バトルを経験するという努力のようなものが強さに反映されるためで、それを示すパラメータが「努力値」だ。

いうなれば、

Aくんは走り込みをしたので、Bくんより走るのが速い

――在りし日のWikipediaより

というようなことだ。

タマゴから生まれたばかりのポケモンと、捕まえたばかりの(元)野生のポケモンは、努力値がゼロである。

努力値を効率的に与える方法はあるが、簡単なのでビギナーでも手を出しやすいと思う。

努力値には上限があり、すべての能力値でMAXにすることはできないので、配分を考えるのがガチ勢の間で盛んな学問である。

結びに

個人的にはすばらしいWikipediaの在りし日の記述だったと思うのだが、いかがだっただろうか。

え、ガチ勢こy?

こんなの、ガチ勢にとっては序の口ですがな。

懐かしいが、発売日に買った『X・Y』を1週間で放置してしまった俺は、もうしばらくポケモンには戻らないだろうな……

あ、でも『ポッ拳』はきっと買うよ!