『スーパーマリオメーカー』が発売され、誰もが気楽にスーパーマリオのコースを作れる時代になった。
しかし、ゲーム作りのプロでもない俺たちが、いきなり素晴らしいコースなんて作れるわけが……
いや、俺たちには素晴らしい教科書があるじゃないか!
そう、プロが作った原作ゲームをプレイしてみれば、様々な工夫や仕組みを知ることができる……
でもそんな勉強する時間なんてないよ!
そんなあなたに、俺が見つけたスーパーマリオに詰まったノウハウや知恵の数々をご紹介。
マリオメーカーの「職人」でなくても、いろいろ感心する部分があるのではないだろうか。
え、自動マリオ? 演奏コース? そんなの好きに作っとけよ……
ブロックの高さは4マス目
まず、俺が原作再現コースを作るために資料を見て気付いたのは、ほとんどのコースにおいて、ハテナブロックなどの“叩ける”ブロックは、地面から4マス目の高さにあるということだ。
ちなみに、ブロックが2段ある場合の上段は8マス目にある。
きっとこの高さが最もプレイしやすいのだろう。
原作のコースは工夫と知恵の塊だと思っているので、俺はオリジナルコースを作るときにもこの様式を取り入れている。
コインは道しるべ
コインというのは、とりあえず浮かんでいるわけではなくて、プレイヤーに道を示しているのだ。
コインがあったら取りたくなるじゃん?
そこで、取ろうとしたプレイヤーを罠にはめるなど邪道、言語道断だ。
そもそも、コインの起源ってのは「ドットイートゲーム」におけるドットだと、俺は分析している。
ドットイートゲームってのは、『パックマン』のように「ドット=点」を取りながら進んでいくアクションゲームのことだ。
そういうわけで、コインはジャンプすべき場所などで、自然にジャンプすれば取れるように配置されているのだ。
プレイヤーをさりげなく誘導する、親切なゲームデザインに欠かせないのがコインだ。
何事にもヒント
隠しブロックや隠しルートなどには、何らかのヒントや示唆があることが多い。
『スーパーマリオブラザーズ2』では地上を歩くハンマーブロスを出合い頭に飛び越えようとすると、ちょうどいいところに隠しブロック(しかも毒キノコ入り)があるという、なかなかいやらしい仕掛けがあったが、何の変哲もない場所に隠しブロックがあっても普通は気付かない。
コインを置くとか、レンガブロックの中に意味深な隙間があるとか、高い足場に乗るのに明らかに隠しブロックが必要とか、プレイヤーに知らせる方法はいろいろあるだろう。
俺も隠しブロックを使うギミックをいくつか作ったが、適切なヒントを出せてたかどうかはちょっと自信ないな……
「矢印」もアリだけど、『スーパーマリオワールド』スキンじゃないと原作にはない違和感が……
シリコンバレー?
『スーパーマリオブラザーズ』の「1-1」について考察している興味深いサイトがあったのでご紹介。
マリオ研究 - CrownArchive
リンク先の要約:
- レンガブロックをむやみに壊してはならないことを経験で学べる
- 「穴」を飛び越えるのが難しいプレイヤーに対する救済措置
- ゲーム中の四つのアイテムがいきなりすべて登場している
詳しくは各自で読んでもらうといいのだが、ところでこのサイトのURLには「SiliconValley」という語が含まれている。
シリコンバレーの工業デザイナーの教科書? というわけではないようだが、ちょっと意味深……
任天堂の危惧
さて、いよいよ任天堂公式サイトに突入だ。
任天堂はゲーム作りのプロだから、マリオメーカーの自作コースについても思うところがあるのだろう、こんなページをお作りになった。
Nintendo News | 『スーパーマリオメーカー(Wii U)』スーパーマリオメーカーコース作成講座 ましことヤマムラ 第一話 - 任天堂ホームページ
リンク先の要約:
- 前触れのない不意打ちはプレイヤーにとって楽しくない
- 休む間もないコースはプレイヤーにずっと緊張を強いる
- 完全に鳩
これもなかなかためになるページだけど、自由にコースが作れるのが売りのマリオメーカーで、開発者側がこんな指南をするのってどうなの? と思わないでもない。
俺がするのは個人の勝手だけどね。
それとも、素晴らしいコース作りのメソッドを教え込んで、未来のゲームクリエーターの卵を生み出そうってか。
いや、ガキはこんなページいちいち読まないよな。
偉大な天才、宮本茂様
次のリンクは『New スーパーマリオブラザーズ Wii』についての、任天堂の前社長の岩田聡氏(故人)と専務の宮本茂氏の対談だが、前半は初代『スーパーマリオブラザーズ』およびそれ以前のマリオに関する話題だ。
社長が訊く『New スーパーマリオブラザーズ Wii』 - 任天堂ホームページ
リンク先の概要(前半部分):
- ミスしても何度もプレイされるのは“悔しい”から
- マリオがジャンプする理由、ヒゲの理由、帽子の理由、オーバーオールの理由、土管の理由
- ノコノコがカメな理由
- クリボーはキノコに似ている
- 最初のキノコはどうやっても取れるようになっている
宮本氏といえばマリオの生みの親として有名で、様々なゲームのプロデューサーを務めてきたクリエーターだが、専門は工業デザインらしい。
工業デザインとは、見た目だけではなく機能や使いやすさを重視して製品をデザインする職能のことで、上のリンク先のページを見ると、スーパーマリオにいかに多くの工夫とアイデアが詰め込まれているかがよくわかる。
まさに機能美ってやつだ。
宮本氏とともにスーパーマリオを開発してきた手塚氏、中郷氏との対談である「その2」や、(当時)最新作の『マリオWii』の開発に携わった四人のクリエーターとの対談である「その3」も、興味深い内容なのでおすすめだ。
- 社長が訊く『New スーパーマリオブラザーズ Wii』(その2) - 任天堂ホームページ
- 社長が訊く『New スーパーマリオブラザーズ Wii』(その3) - 任天堂ホームページ
ただ、全部読むとあまりに長いから、時間のあるときに……
初代の「1-1」は最後に作ったコースだ、という話が特に興味深かった。
それと、クリボーは“しいたけ”。
「1-1」にはそのゲームの様々な要素を詰め込み、チュートリアル的な役目も求められ、取説も攻略本も読まなくても自然にそのゲームに入っていけるようにという、工夫に工夫を重ねたものになっているのだ。
まとめ
ユーザーのことを考えたデザインというのは、抽象的だがどうすればいいのかわかりにくい。
今回紹介したサイトを読んで、マリオメーカーにおける自分のコース作りに役立てる……のはさすがに難しいけど、いろんなエッセンスを感じ取ってくれれば。
糞コースばっか作ってんなよ! ってこと。
かくいう俺も、「面白い、何度もやりたくなる」コースには程遠いよな……
俺の自作コースは、「マリオメーカー」タグの付いた記事で紹介してるから、よかったらどうぞ。
こめんと